信頼できる仲間に託す/遺贈をする
トレーディングカード次世代承継研究所の若海です。
このページでは、想定できるケースを元に会話形式でご案内してみようと思います。
突然ですが、Aさん
このままではお持ちのコレクション、将来的には廃棄されてしまう可能性が高いですよ
え?!
失礼ですがAさんは今お子さんもいらっしゃらないし、両親も既に他界されてますよね
は、はい…
そしてご兄弟もいない。その場合、Aさんが亡くなった時にどうなるかご存じですか?
い、いえ…
遠縁でも相続人がいればその方に相続されますが、そういう方もいない場合最終的には国のものになりますよ
そ、そうなんですか…
国の所有となったとき、はたしてトレーディングカードの価値をわかってもらえるでしょうか?
ど、どうでしょう…
私は難しいと思います。それにどうせなら価値のわかる人にもらってほしくないですか?
それはそうですね
Aさんはお持ちの例のカード、譲りたい相手はいますか?
はい、どうせなら同じコレクター仲間のBに譲りたいです。でも今は渡す気はありません。
もちろん、Aさんがこの世にいる間はAさんのものです。
なるほど、その場合は遺言書を残しておくとよいですね
遺言書…ですか?なんだか大袈裟だなぁ…
そうでもないですよ。自筆証書遺言であれば書き直しも簡単ですし、カードだけの遺言書であればそんなに手間もかかりません。またAさんが亡くなった後に効力が生まれるのでこの世にいる限りはずっとAさんのものですよ
なるほどなぁ……。
といったように、
自分がこの世を旅立ったあと、遺されたカード達の行先を決めておいてあげてほしいのです。
想定される最悪のケース
カードの価値がわからない方であれば・・・
- 燃えるゴミとして処分される
(燃やされる) - 押し入れに段ボールとともに保管
(忘れさられる) - 子供の遊び道具
(ボロボロになる) - 二束三文で処分される
何故かというと、カードの所有者が亡くなった場合、通常そのカードの所有権は相続人に自然と承継されます。
ご家族でトレーディングカードの趣味を共有されている場合は問題ありませんが、そうではない場合、その貴重なコレクションの価値・希少性を理解できないまま相続してしまうことになります。
トレーディングカードの保存の難しさ
ご存じのとおり、カードはとてもデリケートなものです。ちょっとしたことで傷がつきますし、湿気・乾燥などのダメージも影響が受けやすいです。
そのようなものを、いきなり知識のないご家族が相続され、適切に扱えるでしょうか?
直射日光
湿気
高温
私はそうは思えないのです。
また紙である特性から(価値を知らぬまま)一緒に火葬にしてしまう可能性もあります。
それは、遺されたカードにとってとても不幸な話だと思います。
本当は生前に贈与できれば一番良いのですが、私もコレクターのはしくれ、元気なうちは手放したくないその気持ちはとてもわかります。
ですので、次善の策としまして、もしこの人なら託しても良いなと思える相手がいるのであれば、今の内に遺言書を残してほしいのです。
そうすれば、その友人に託すことができます。もちろん、亡くなるまではお手元に保管して十分に愛でて下さい。
ただ万が一の場合。いつか必ずくる万が一の場合にその大切なカードが一番幸せになるよう準備してあげてほしいと思います。
大事なカードの行方
その結果、相続人を探しても見つからなかったり、そもそも相続人になるべき人が存在しない場合もあります。
この場合、そのお持ちの財産の行方がとても困ってしまいます。
途中経緯は省略しますが、最終的には国のものになることがほとんどです。
これはトレーディングカードについても同じことですが、一般的な財産(不動産や宝石)等と異なり、トレーディングカードを国が所有するとは思えません。
例えば、持ち家の場合にはそのまま行政が動くまで空き家として放置されてしまうでしょう。賃貸にお住まいの場合には、最終的には大家様がその残った家具類(動産といいます)をすべて処分してしまうことでしょう。
いずれにしても、トレーディングカードにとって良くない状態になることは間違いないことはコレクターの皆様にはお分かりの通りでございます。
そういったことを未然に防ぐためには、しっかりと元気なうちに遺言書や死後事務委任契約を結び、ご自身が亡くなった後の財産の行き先を決めておくことが肝要です。